前回は、老後の生活を支える「老齢年金」についてお話ししました。
今回は、もしも病気やけがで働けなくなってしまったときに助けてくれる制度、
「障害年金(しょうがいねんきん)」 についてわかりやすく説明します。
障害年金とは?
障害年金とは、病気やけがで生活や仕事に支障が出た人が受け取れる年金です。
老齢年金と違って、年齢ではなく“体の状態”によって支給される年金になります。
たとえば次のような場合が対象になります。
- 病気やけがで日常生活がむずかしくなった
- 長期間にわたって働けなくなった
- 精神疾患や心の病気で生活が制限されている
つまり、体の状態が原因で「普通に生活することが困難」になった人を支える制度です。
もらえる条件
障害年金をもらうには、次の3つの条件を満たす必要があります。
- 初診日の条件
最初に医師の診察を受けたとき(=初診日)に、
日本の公的年金に加入していること。 - 保険料の納付条件
初診日の前日において、保険料をきちんと納めていること。
具体的には「直近1年間に未納がない」か、「加入期間の3分の2以上納めている」ことが必要です。 - 障害認定日の条件
初診日から1年6か月経った日、または症状が固定した日に、
一定の障害等級に該当していること。
この3つをすべて満たしていることがポイントです。
障害等級とは?
障害の重さに応じて、「1級」「2級」「3級」の3段階に分かれています。
国民年金と厚生年金では等級の数が異なります。
| 加入している制度 | 等級の数 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 国民年金(自営業など) | 1級・2級 | 日常生活が大きく制限される人 |
| 厚生年金(会社員など) | 1級・2級・3級 | 働くことや日常生活に支障がある人 |
また、障害年金は身体だけでなく、うつ病や発達障害、統合失調症などの精神疾患でも支給される場合があります。
もらえる金額のめやす
障害年金の金額は、等級や加入している制度によって異なります。
以下はおおまかな目安です(2024年度時点)。
| 等級 | 国民年金(障害基礎年金) | 厚生年金(障害厚生年金) |
|---|---|---|
| 1級 | 約97万円/年 | 報酬に応じて約120〜200万円程度 |
| 2級 | 約78万円/年 | 報酬に応じて約80〜160万円程度 |
| 3級 | ― | 報酬に応じて約60万円程度 |
※配偶者や子どもがいる場合は「加算」されることもあります。
障害年金は「長期サポートのための制度」
障害年金は、短期間の治療費の補助ではなく、長期的な生活の支えです。
働けなくなっても、安心して生活を続けられるようにするための仕組みです。
また、一度もらい始めたあとも、定期的に「障害の状態を確認する診断書」を提出して、
状況に応じて金額や等級が見直されます。
まとめ
障害年金は、老後だけでなく今の生活を守るための年金でもあります。
- 病気やけがで働けなくなったときに支給される
- 1級〜3級の等級で金額が決まる
- 精神疾患なども対象になる場合がある
誰でも突然のけがや病気に見舞われる可能性があります。
だからこそ、この制度を知っておくことが大切です。
次回は、もし家族を亡くしたときに残された人を支えてくれる
「遺族年金」 について説明します。









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