イラスト制作の受注をやりたいんだけどどのくらいで値段設定したらいいんだろう?
安定して長く活動していくうえで忘れてはいけないのがお金のハナシだね。ここでは一般的な料金の決め方を紹介するよ
料金の決め方
イラストレーターが案件を受注する上で忘れてはいけないのがお金の話。始めたばかりの時は経験も実績もないため安く請負いがちです。しかし、あまり安い値段で請け負うと単価の基準が下がるので他のイラストレーターさんたちから煙たがられてしまうことも・・・
また収入にならない値段で続けるのは制作物のクオリティやモチベーションにも影響が出てきてしまうためいいことはありません。料金は最初にしっかり決めておくのがいいでしょう。
①制作時間を自給換算する
あなたのイラストはどれぐらいの時間をかけて制作していますか?
1時間あたりの進捗を参考に値段を考えてみましょう。
1時間あたり2000円と仮定して5時間かかる絵があったとき、その絵は1万円ぐらいの値段である、と決める方法です。最も一般的な方法です。
だいたい自分の絵がどれくらいの時間で描けているのかしっかり計るようにしておこう。
制作時間ってどうやって計るの?
例えばこんな計り方があるよ
時計を見て計る
何時から何時までかかったかを時計を見ながら記録します。ストップウォッチのようなものを活用してもいいかもしれません。一番アナログですが一般的な方法です。
タイムプラス機能を利用する
ソフトによってはタイムプラス機能がついているタイプのものもあります。その時間を見て算出します。また計測ソフトも存在するのでそれを活用してもいいかもしれません。
保存時間を記録しておく
制作したイラストの保存ファイルには日時が表示されていますね。制作を開始した時間と最後に保存した時間の記録をとっておきましょう。専用のノートを作って記録すれば管理もしやすくなるでしょう。
②目標月収から依頼される数を逆算する
目標となる月収を40万円と仮定して自分が月当たり描ける作品数が10枚程度なら1枚4万円程度引き受ければ目標金額に到達しますね。このように自分が描ける範囲内で目標金額を決めて何枚受注するかを決めてしまえば作業の目安にもなりスムーズです。
目標金額をもらっている絵の相場を調べて自分が対応しやすいサービスを考えて引き受けるのもいいですね。
これなら計画も立てやすいかも・・・
③周りの相場に合わせる
クラウドソーシングサイトを活用する場合に一般的なやり方です。自分と同等のサービスを提供しているアカウントをみつけてその値段を参考にします。ただし安く大量に引き受ける必要はなく、クオリティで欲しい値段にふさわしいサービスを考えて提供するのがいいでしょう。
サービスごとに料金表をしっかり作って対応することをおすすめします。
相場の値段を見て自分が提供するイラストの値段を決めればいいんだね。
欲しい値段に対して嫌にならない価格帯で均衡がとれているイラストを優先してとるようにできるといいね。
④欲しい金額を提示して作り放題の契約
取引先が決まっている人向けです。業務委託では一般的な内容になります。事前に契約書を作りどのくらいまで対応できるか協議して決めます。指示書がきて自宅等で制作する場合と拘束時間を決め会社に出向いて制作する場合があります。収入の目途が立てやすいのがメリットです。
ある意味アルバイトみたいな感じだね
自分でスケジュールを管理できればこんなやり方も可能だよね。
注意するポイント
書き込み具合に応じた参考価格
日本イラストレーター協会ではイラストの料金相場を公開しています。ランクと書き込み量に応じて決めているので参考にするのがいいでしょう。
A→Eと徐々に手が込んだイラストになっていくよ
- Aランク …… 線画にべた塗り、線なしべた塗りのシンプルなイラスト
- Bランク …… 線画に多少立体感を付けたイラスト
- Cランク …… 線なしの立体感のあるイラスト
- Dランク …… 実写的なタッチや水彩画などの手書きのイラスト
- Eランク …… スーパーリアルや精密画などの手間のかかるイラスト
10×10㎝のイラストを想定したときの値段を想定するよ。
イラストの条件/ランク | Aランク | Bランク | Cランク | Dランク | Eランク |
---|---|---|---|---|---|
人物1人/顔のみ、背景なし | 2,000円 | 3,000円 | 4,000円 | 5,000円 | 6,000円 |
人物1人/上半身、背景なし | 3,000円 | 4,000円 | 5,000円 | 6,000円 | 7,000円 |
人物1人/全身、背景なし | 5,000円 | 6,000円 | 7,000円 | 8,000円 | 1,500円 |
人物2人/上半身、背景なし | 5,000円 | 6,000円 | 8,000円 | 10,000円 | 18,000円 |
人物2人/全身、背景なし | 7,000円 | 8,000円 | 10,000円 | 15,000円 | 20,000円 |
人物3人以上/全身、背景なし | 9,000円 | 10,000円~ | 12,000円~ | 20,000円~ | 25,000円~ |
シンプルな背景付きの場合の追加料金 | 1,000円 | 1,200円 | 1,500円 | 2,000円 | 3,000円 |
書き込む背景付きの場合の追加料金 | 1,500円 | 2,000円 | 3,000円 | 4,000円 | 5,000円 |
自分の描きやすい書き方を参考に値段をきめてもよさそう
用途・媒体ごとの参考価格
イラスト制作とはそれを基にして利益を得るために依頼主から注文いただいたくものです。時に依頼主の制作物の顔となることもあります。
依頼主から必ず「どのような媒体で」「どのような用途で」使用されるのか確認しておきましょう。何に使用されるかで料金の相場は変わります。用途に則した利用をされているのかチェックするのもクリエイターの努めです。
参考にしてみてね
イラスト
印刷イラスト10×10㎝
- ストック作品… 600円~1,000円
- 依頼イラスト… 3,000円~5,000円
- こだわったイラスト… 5,000円~10,000円
イラスト受注
- グッズイラスト… 5,000~10,000円
- 漫画イラスト…… 10,000~250,000円
- HPイラスト …… 5,000~10,000円
- YouTubeサムネイル… 3,000~10,000
- キャラクター/ミニキャラ… 3,000~300,000円
- ロゴ……………… 5,000円~200,000円
- アイコン………… 1,500円~30,000円
- 立ち絵…………… 10,000~20,000円
- Vtuberイラスト… 10,000~200,000円
その他デザイン制作
WEBデザイン
- WEBデザイン… 50,000円~/ページ
- バナー作成…… 5,000円~
- ロゴ作成……… 20,000円~
- 名刺作成……… 20,000円~
- イラスト作成… 30,000円~
DTP
- チラシ作成(A4)……… 10,000円~
- ポスター作成(A3~)… 10,000円~
- パンフレット(三つ折り)作成 … 20,000円~
- マップ作成 …………… 20,000円~
そのほかくわしくはこちら
イラストの使用媒体/ランク | Aランク | Bランク | Cランク | Dランク | Eランク |
---|---|---|---|---|---|
ポスター A1 | 80,000~ | 100,000~ | 120,000~ | 150,000~ | 200,000~ |
ポスター A2 | 50,000~ | 60,000~ | 80,000~ | 100,000~ | 150,000~ |
ポスター A3 | 30,000~ | 40,000~ | 60,000~ | 80,000~ | 100,000~ |
POP A4 | 20,000~ | 30,000~ | 40,000~ | 50,000~ | 70,000~ |
車内吊り広告 A3 | 50,000~ | 60,000~ | 70,000~ | 100,000~ | 150,000~ |
車額 A3 | 30,000~ | 40,000~ | 60,000~ | 80,000~ | 10,000~ |
チラシ/パンフレット/カタログ A4 | 20,000~ | 30,000~ | 50,000~ | 70,000~ | 90,000~ |
リーフレット A4の1/3 | 8,000~ | 10,000~ | 15,000~ | 20,000~ | 30,000~ |
カレンダーA3 12枚 | 240,000~ | 300,000~ | 500,000~ | 800,000~ | 1,200,000~ |
カレンダーA3 6枚 | 120,000~ | 150,000~ | 200,000~ | 300,000~ | 600,000~ |
卓上カレンダー 12枚 ハガキサイズ | 120,000~ | 150,000~ | 180,000~ | 200,000~ | 250,000~ |
新聞広告 全15段(全国紙) | 80,000~ | 100,000~ | 120,000~ | 150,000~ | 200,000~ |
新聞広告 全15段(地方紙) | 70,000~ | 80,000~ | 100,000~ | 120,000~ | 150,000~ |
雑誌広告 全5段(全国紙) | 30,000~ | 40,000~ | 50,000~ | 70,000~ | 100,000~ |
パッケージ A5 以内 | 20,000~ | 30,000~ | 40,000~ | 60,000~ | 80,000~ |
WEB トップページメインビジュアル | 30,000~ | 40,000 ~ | 50,000~ | 70,000~ | 100,000~ |
テレビコマーシャル | 40,000~ | 50,000~ | 70,000~ | 100,000~ | 150,000~ |
テレビ番組 | 10,000~ | 12,000~ | 15,000~ | 20,000~ | 30,000~ |
雑誌広告 縦横20㎝以内 | 20,000~ | 30,000~ | 40,000~ | 60,000~ | 80,000~ |
企業マスコットキャラクター | 100,000~ | 150,000~ | 200,000~ | 300,000~ | 500,000~ |
大きいものや広く広報するものなんかは少し高めに提示していいんだね!
大きいイラストはPCに高負荷もかかるし作業時間もかかる。
広い広報媒体は予算も多いからこのくらい提示しても大丈夫だよ。
そのほかの追加提示ポイント
相手の事情による追加料金はしっかりと決めておきましょう。よくあるポイントがこちらです。
- 複数案の提示
デザイン関連の依頼の場合は複数案の提示を求められる場合もあります。そのときは交渉材料として基準より3,000~5,000ぐらい上乗せで伝えてもいいかもしれません。
- 特急料金
依頼者の事情で1か月かかるものを2週間で、1週間かかるものを3日でなどと頼まれることもあります。その時は例えば一律1000円アップ、0.3%割り増しなど相手の事情に合わせてスケジュールに無理のない範囲で割り増し料金を提示するのもいいでしょう。
- キャンセル料/修正料金
もちろんイラストレーターは作品に万全を尽くしますが、クライアントの中には気にいらないからと何度も修正を要求してきたりしてくるクライアントもいます。中には10回以上修正したのにそれでも気にいらないとなかなか契約を満了することができない場合などもあります。
そういう事態を防ぐために修正回数を例えば3回までと決め、その中で相手の要求が終了条件基準に達しない場合は再度書き直す料金をいただいたり、キャンセル料金として支払ってもらうことで依頼を満了します。
また、最初想定していた使い方と違う使い方をするために一度納品したイラストを加筆修正し再度使いやすいように直したりすることを求められることもあります。
そういった際の軽微な手間も依頼を受けた以上は割り増し料金をいただいてもいいでしょう。
逆に、どこまでは無料でやって、どこからはお金をいただくのかをある程度自分で決めておくことをお勧めします。
- 用途に応じて割増料金やロイヤリティを提示
商標登録をする場合などは、事前に取り決めをすることで使用されるごとにいくらなどとロイヤリティを交渉することが可能です。こういった点も自分でしっかり管理し、取り逃しのないよう自分の料金プランをしっかり決めておきましょう。
あくまで商売だから相手と合意することで自分の好きなように決めていいんだね。
もちろん依頼主あっての商売だから、しっかり話し合ったうえで取り決めよう!
知的財産権についての加算の取り扱い
制作物には知的財産権があります。知的財産権の扱いは年々高まってきており、これらを売り上げに考慮する動きはどんどん高まってきています。かならず知的財産権についての取り扱いは確認しておきましょう。今回は知的財産権の中の、イラストレーターに関係がある著作権を3つ紹介します。
- (狭義の)著作権……… 「著作物」を創作した者(「著作者」)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利。
- 著作人格権… 著作物の創作者が作品に対してもつ名誉権等の人格的利益を保護する権利。
- 著作隣接権… 著作物の創作者ではないがその流布に貢献のある者に対して契約に基づかずに与えられる権利
制作してもらったイラストについては基本的に自由に使いたいと考えている発注者は多く、企業側は著作権については基本的に譲渡してもらいたいと考えていることが多いです。しかし、イラストレーターに(クリエイター)にとってそこは重要な交渉ポイントになります。
著作権についての取り扱いは必ず決めておきましょう。著作権譲渡をする場合は2~3倍の値段を提示してもいいかもしれません。かならずその後の用途についてはできる限り確認しておきましょう。
著作権を譲渡しない場合は二次利用・三次利用の規定を決めておくのがいいでしょう。
- 二次利用・三次利用の参考料金
- 二次使用料 70%
- 三次使用料 50%
- 四次使用料 50%
- 五次使用料 20%
必ずしも上手くいくわけではありませんが、頼まれた用途以外の二次利用に対してこのように値段を決めておけるのがベストです。最初に取り決めとして伝えておくことでトラブル防止にもなるので参考にしましょう。
また、著作権を譲渡する場合でも、必ず制作事例として自分が公表する許可をしっかり取っておきましょう。
商標登録する場合
依頼者が商標登録をする場合はこれ以上の価格の提示をしてください。というのも、商用利用する上で権利を手放してしまったばかりにイラストレーター(クリエイター)が損をしてしまうことが多いからです。
かならず用途を確認したうえで10倍~100倍の値段を提示してみましょう。それぐらい相手はあなたのイラストを使ってお金を稼ぐということです。5000円のイラストが相手にとって500万円の価値になることもあるので、それに応じてイラストレータも報酬をもらいます。
- ロイヤリティについて取り決めておくことも可能
また、最初に取り決めしておくことで用途に応じてロイヤリティを請求することも可能です。必ず貰えるわけではありませんが、だいたい3%ぐらいを目安に交渉してみます。
自分が描いたものが世に出回ったときに悔しい思いはしたくないよね。
もちろん相手に自由に使ってもらったほうがより「世に出回りやすくなる」こともあるからそこは自分の裁量を信じるしかないね。
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