イラストレーターの仕事って・・・ロゴ作成とかゆるキャラとかチラシ作成とかやればいいのかな?
突然だけど、デザイナーとイラストレーターとアーティストの違いって知ってる?
え?全部一緒じゃないの?
デザインナーがイラストも請け負っていたりイラストレーターがアーティスト活動をしている場合もあるけど、じつは全く別のものなんだ。
今回はこの「デザイナー」「イラストレーター」「アーティスト」の違いについて説明していこうかな。
デザイン・イラスト・アートの違い
混同されることがよくありますが「デザイナー」「イラストレーター」「アーティスト」はすべて違うものを指します。
これらを混同したまま創作活動をするとクライアントの要望から逸脱してしまったり、自分が本来得意ではない仕事を請け負ってしまってトラブルになることもあります。
今回はそれぞれの定義と、仕事の違いについて説明していきたいと思います。
まずは「イラストレーター」「デザイナー」「アーティスト」も含めて、すべての創作活動をする人全体をここではクリエイターと定義します。
クリエイターの中にはプログラマーや動画制作者やイラストレーターや自動車モデラーなどほかの創作活動をする人も含まれていますが、その中で絵を描く技術を活かすクリエイターで混同されやすいのが「デザイナー」「イラストレーター」「アーティスト」の3つです。
わかるようなわからないような・・・
- デザイナー ……… デザインを組む人
- イラストレーター… イラストを描く人
- アーティスト …… アート作品を作る人
まずはこれが大前提。
ではデザイン、イラスト、アートはどのように違うのでしょうか。分類してみましょう。
- デザイン …… 情報を伝えるために機能性や操作性を考慮して造形を考えること
- イラスト …… 意味や内容を絵によって分かりやすく伝える技術
- アート …… 感情や世界観を表現したもの
実際はイラストレーターがアートも描いていたり、デザイナーがイラストを描いていたり、アーティストがデザインも請け負ったりなど業務が複雑に入り混じっていることも多いですが、これらの概念の違いは覚えておきましょう。
これらを混同ししたまま仕事を探しちゃうとミスマッチを招いちゃうよ。
デザインとイラストの関係性
デザイナーとはデザインを組む人、イラストレーターとはイラストを描く人って言ってたね。
イラストとは「意味や内容を絵によって分かりやすく伝える技術」ってどういうこと?
例えばこの中でイラストレーターの仕事ってどこだかわかる?
え?ぜんぶじゃないの?
正解はここ!
おもにデザインの一部として情報を補足するために使われる絵のことをイラストと呼び、それを描く人をイラストレーターと呼ぶんだ。
すくないなあ
一方でデザイナーの仕事はこれ。
???
いろいろな素材や要望を踏まえて全体のバランスを考えることなんだ。
ここの緑の部分はデザイナーが記述する場合もあればクライアントが素材として提出する場合もある。
そうなの?!
デザイナーにもいろいろなデザイナーがありますが、広報におけるデザイナーとはおもに依頼主であるクライアントの要望を汲み取り、媒体やコンセプトに合うものをデザインとして作り上げることです。
そしてイラストはデザインの一部であり、広告したい商品を引き立てるために用いられる絵のことを指します。
つまりデザイナーとは媒体に合わせて要望に沿ったものを作り上げる人、そしてその一部にイラストレーターの仕事があるってことなんだよ。
絵を描くとは限らないんだね。
そう。相手の要望もないところで勝手に無関係な絵を入れるのはデザイン的にはアウト!
デザインとアートの違い
アートとはデザインとは少し別の概念です。しかしデザインの延長線上にあるもアートはあります。
クリエイター、デザイナー、イラストレーターを含む絵を描く人の作品からにじみ出てくるその人特有の癖やオーラ、制作に至るまでのドラマ性、作品に込められたメッセージなどすべてを含めた世界観をアートと呼んでいます。
少し複雑ですが説明していきましょう。
大事なのは共感が得られること。好き勝手に描いても共感を得られればアート。
その反面、共感を得られなければただのエゴと見られてしまう危険性もあるのがアートだよ。
どういうこと?
それは、アートとは「世界観を売る」のが仕事だからだよ。
あなたも絵を見ただけで「これは●●さんの作品だな」と作者が分かるときがありますよね。それはその作者の癖であったり、特徴的な絵のタッチだったり、光の描き方だったり、気づくポイントは様々です。それをここでは世界観と呼びます。
例えば有名ないらすとや。イラストレーターのみふねたかし氏が制作したイラストを提供するフリー素材サイトですが、そのタッチ、独特のフォルムからどの場面で使われていてもすぐ「いらすとや」だ!と気づきますよね?
みたことあるある!
この「作品を見て誰が描いたか分かること」、それが世界観だよ。
これは絵に限らず、音楽だったり、造形物だったり、インスタレーションだったりフィギュアスケートや舞台俳優の演技の中でも出てくるもので、表現方法は多岐に渡ります。
一つ一つは癖のないやさしいイラストもずっと描き続ければその人の癖や特徴から世界観が生まれ、固定客がついたりファンができたりします。
こちらの展示会にはみふねたかしさんも出品しているよ!
そうなれば展示会をしたり、アパレルメーカーやブランドとコラボしたりすることができます。これは世界観があり、固定ファンに愛されているから「企画展」をしたり「コラボ」することができるのです。
こうなった瞬間にデザインはアートに変化します。
つまり、デザイナーもイラストレーターも自分の固定ファンがつくくらい世界観を売ることができたらアートになるってこと?
そう。自分の世界観を表現したものに価値を感じた人がお金を払うことをアートというんだ。
つまりその世界観に価値を感じられる人が居ないとお金にはならないってことだね。
アート=美術史ではない
アートってピカソとかゴッホとかゴーギャンとかそういうのじゃないんだ
それももちろんアートだよ。ピカソにはピカソの、ゴッホにはゴッホの世界観があって、それに価値を感じた人がお金を払ってるでしょ?ただ、それだけじゃないってハナシ!
ピカソは抽象画が有名です。それはもともと画力が高い人が、それ以上にその作品に至るまでのドラマだったり、作品に込められたメッセージを絵画として表現したときにそれに共感する人がいるから価値があるのです。その時点でピカソの絵画は“画力”そのものよりも“世界観”に価値が置かれているからアートとして評価されているのです。
じゃあボクの世界観に価値を感じた人がお金を出してくれればボクでもアートができるのか…
美術史ではそういう画家やアーティストの人生の背景や世界観も研究しているけど、当然アート=美術史のことではないからおぼえておいてね。
作品+付加価値=アート
アートというものは作品そのもののクオリティも大事だけれど、その話題性やドラマ性によって何倍も価値が出るものなんだ。
話題性やドラマ性?
例えば2021年10月15日にこんなニュースがあったよ
「バンクシー絵画シュレッダー事件」からみるアートの価値
2018年にこんなニュースが話題になったのを覚えているだろうか?
それは英国の覆面アーティスト、バンクシーの絵画が5日、競売大手サザビーズのオークションで落札された直後に額縁の仕掛けで破壊されたというニュースである。
ロンドンでオークションにかけられ140万ドル(約1億5000万円)で落札されたあと、そのままその絵画が額縁に仕掛けられた仕掛けが作動して絵画を裁断してしまったんだ。
バンクシー絵画、1億5千万円で落札 直後にシュレッダーで「自滅」
英国の覆面アーティスト、バンクシーの絵画が5日、競売大手サザビーズのオークションで落札された直後に額縁の仕掛けで破壊された。サザビーズの幹部は報道発表で、「我々はバンクシーにまんまとやられたようだ」と述べた。
作品は、ハート型の赤い風船に手を伸ばす少女を描いたバンクシーの代表的なモチーフ。ロンドンでオークションにかけられ、140万ドル(約1億5000万円)で落札された。
-引用元:CNN.co.jp
@banksy(公式Instagramより引用)
コメントの「Going,going,gone…」はオークションの掛け声と「消えてなくなった」の意味をかけたものでこの作品にはアートがただの投機対象として見られることへの批判が込められていると言われている。
サザビーズオークションとは……?
世界で最も古いアートオークションの1つです。クリスティーズと並ぶ世界二大オークションの一つです。1744年にロンドンの実業家であるサミュエル・ベイカーがジョン・スタンリー卿所蔵の書物を数百冊出品してオークションを開催したことから始まり、書籍やアート作品だけではなく車やワイン、不動産なども取引されている。
アートの価値は画力そのものよりも話題性にあるんだ。
それが分かるのがこのニュース。
シュレッダーされたバンクシー作品、25億円で落札 総額は過去最高
英競売大手サザビーズで15日、過去のオークション中に額縁に仕掛けられたシュレッダーにより自壊した覆面アーティストのバンクシーの作品が、新たに1600万ポンド(約25億円)で落札された。総額では、同氏作品の最高額を更新した
-引用元:BBC NEWS JAPAN
技術や完璧な姿だけを求めているなら粉々になったら価値は下がるはず…
上がっているのはこれが世界的に有名なニュースになったからと言えるよね。
投機対象として見られることへの批判を込めた作品が高額で転売されるなんてなにが何だか…
共感を得るには?
共感を得られれば高値で取引されるのはわかったけど、ボクが描いたものでボクが収益を得るのが大事じゃない?
共感を得られるようにするにはどうしたらいいの?
最初から共感を得ようとするのは難しい。
お金と時間があって、無限に絵を描いてられても見てもらえなければ意味がないからね。
- 自分が作りたい作品をたくさん作って提示すること
- 相手の要望にたくさん応える作品を提供すること
- 世に出回って見てもらうこと
- シリーズ化して覚えてもらうこと
- 「あなたに依頼したい」と頼まれること
これらをクリアしてはじめてアートになるんだ。
ハードルは高いけどイラストレーターとして仕事をこなすならやっていかなきゃいけない部分かも……?
デザイン的にはアートはタブー?
デザインの目的は相手の商品を売るために要望に応えることです。要望に応えるのと引き換えにあなたの作品が世に出回ります。
最初から個展などで自分の作品を売れれば問題ありませんが、特にデザインからアートと呼ばれるまでは勝手なものを入れるとクライアントの要望から逸脱するためクリエイターとしてはタブーです。
自分の癖や作るものの特徴が認知され、相手から「こんな感じにお願いしたい」と自分の作った作品を出して“依頼”されるの状態のことをここではアートと定義しています。
自分が描きたいような絵よりも報酬をもらってクライアントの要望に沿うようなシチュエーションに合った絵が求めららることが多いんだね。
そうそう。
自分の役割を理解したうえで要望に応えながら少しずつ認知してもらえることを目指そう。
イラストレーターの仕事とは
全体的に広告の仕事にはイラストを描いてもらうイラストレーターの仕事よりも文字を組むデザインの仕事のほうが仕事の数は多いです。なぜならイラストレーターになりたい人は多く、どんどんアピールして仕事をとっていかないと競争率が高いからです。デザイナーから仕事を依頼されることも多いです。
自分の得意なジャンルを一つ決め、それに特化したイラストを制作し販売・受注していくことが実績を積み上げる一歩になります。
一般的な仕事をまとめました。自分にできそうなものを決めて照準を絞ってみるのがオススメ!
WEB媒体
- SNSに使用するイラスト
- インスタグラム、Twitter、Facebookなどのアイコンやヘッダーで使用されるプロフィール画像、あとは投稿のエッセイやコラム、商品宣伝用の広告イラストなど
- ウェブサイトやブログの記事に使われるイラスト
- 例えば、ヘッダー画像、バナー、アイコン、キャラクターイラストなどがあります。
広告媒体
- デジタル広告のイラスト
- オンライン広告やバナー広告に使われるイラストを制作します。デザインの一部としてキャラクターなどのイラスト
- 広告のビジュアル
- 新聞広告や雑誌広告、フライヤーなどのビジュアルを担当します。商品の魅力を伝えるイラストやキャンペーンのポスターなど
印刷媒体
- 雑誌や書籍の挿絵
- 雑誌や書籍の記事や章の中に挿入されるイラスト
- キャラクターイラスト、シーンの描写、図版など
- ポスターやチラシ、パンフレットの挿絵
- カタログやカレンダーのイラスト
- 新聞広告や雑誌広告、フライヤーなどのビジュアルを担当します。商品の魅力を伝えるイラストやキャンペーンのポスターなどのイラスト
- 書籍のカバーやCDジャケット
こういった仕事をして地道に自分の実績を積み上げていってね。
できそうなものに特化してイラストを提供していくのが地道な第一歩になっていくんだね…
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